2007年04月25日

自慢の一枚ではあるが

横浜ベイブリッジのスカイウオークから撮った富士山の夕景が
同フォトコンテスト2007年のキリンビール特別賞を受賞した。
受賞作品を含む参加作品がスカイラウンジロビーに展示されている。
受賞の有無にかかわらず応募者は5月7日まではスカイウオークへの入場料が無料である。
この特典を生かすために受賞時以来、再度展示を見にやってきた。
あらためて見直すと入選外ですばらしい作品がたくさんある。
よく自分の作品が選ばれたものだと後ろめたい気さえしてきた。
一通り鑑賞し終え、作品から少し離れた所にいると
背中越しに
“ウォーッこれはすごいっ!”という感嘆の声が聞こえてきた。
家族連れが私の作品の前で立ち止まって見入っているではないか。
その後も何人かの人が同じ反応を示した。
こんな情景に出くわすと自然に顔がにやけて来ると共に、次第に自信がついてくる。
この場に止まってもっと確かめたい気がしたが意を強くして外にでた。
(以上妻に代わって記す)

自慢の写真とは一体何なんだろうとたまに考える。
私達が撮っている富士山の写真に関して言えば、
シャッターチャンスの多くは一日の中では、日の出、日の入り時に集中する。
春の桜、秋の紅葉シーズンには富士山を背景に撮れるお決まりの場所、
お決まりの桜の木やもみじの前に多くのカメラマンが集まる。
特定の天候の条件下、富士山の頭に笠雲が現れるとこれにも一斉にレンズが向けられる。
毎年、決まった日の決まった時刻に撮影できる田貫湖や山中湖のダブルダイヤモンドは
一斉激写の典型例であろう。
4月20日前後の田貫湖などは前日から撮影のための場所取り合戦が始まり、
日の出と同時に数十秒間は一斉に繰り返しシャッターが切られる。
当然のことながら念を入れて露出のブラケティング撮影が行われる。
これだけやれば皆さん同じ写真が撮れているに違いない。
どうせ見分けのつかない同じ写真なら、前の日から場所取り合戦などしなくても、
代表のカメラマンに撮ってもらい、
あとで写真を分けてもらえばいいのではないかと思ってしまう。
先の、スカイウオークの写真で妻の作品が選ばれたとは言え、
当然のことながら何人かのカメラマンが同じ写真を撮っているはずである。
それらの人たちも同じ写真で応募していればこれは審査員泣かせか、
同じ写真ありとして皆諸共に落選していたであろう。
一流の富士山写真展でさえ私が撮ったのと見分けがつかないほど同じ写真が入選して
飾られているのを見かけたり、
雑誌の写真集で自分のアルバムに収まっているのと同じ写真を見かけたりする。
この人とは、あの時に同じ場所にいたんだなと別の意味で感慨深くなったりする。
皆同様に高性能なカメラを使い、同じ場所で、同じタイミングで、
且つ念を入れて少しカメラの設定を変えながら何度もシャッターを切れば
同じ写真が出来上がってあたり前であろう。
もちろん全部が全部そうではないが、フォトコンの賞に選ばれるのは
隙をついて同じ写真の中から一枚だけが無事に審査員の目にとまった時なのであろうか。

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